2011年3月18日金曜日

ニッポンは大丈夫だ

ご無沙汰しています。

丁度1週間前に東北関東大地震が起きてからというもの、ネットのニュースに釘
付けになっている高坂です。

みなさんのご家族、お知り合い、大事な方がご無事であることをお祈りしています。

さて、暗いニュースばかりなので、今回の地震の影響や地震後に起きたことで明
るい点にスポットをあてて前向きに見てみたいと思います。

今回、海外在住の私たちが日本で何が起きているのかを遅延なくリアルタイムで
知ることができているのは、ネットのおかげです。特に今回は、地震発生直後か
ら日本の有志の方(広島に住む中学生)が「著作権侵害で訴えられても責任を取
る覚悟です」と明言した上でUstreamでNHK総合のニュースを中継してくれまし
た。この中継には瞬く間に世界中の日本人からの視聴が集まりました。

しばらくして、NHKの広報の方のtwitterアカウントから、「NHKの放送はUstream
でご覧頂く事ができます」と事実上公式に認める事になるアナウンスがありまし
た。これも、twitterアカウントを担当していた方が個人の判断と責任で行った
そうです。しばらくするとNHKが公式に認めたことで、Ustreamが動き、中学生の
自宅よりも良い環境で高画質でNHKの放送が見られるようになりました。そして
しばらくして、TBS、フジテレビもUstream中継を始めます。

NHKとTBSの中継は今も続いており、10万件を越すビューアーが常に日本のニュー
スを見ています。Ustreamはこの膨大なトラフィックにサーバーの力を割り当
て、放送が途中で途切れたり見難くなることの無い環境を提供しています。CM収
入はもちろんありません。

twitterも大活躍しました。震災直後の携帯電話がつながりにくい状態で、短い
パケットでデータをやりとりするtwitterはメールや音声通話よりもつながり易
いため、家族の安否や現地の状況を確認するのに大きく役立ちました。その後
も、支援団体や企業などがtwitterを通じて様々な呼びかけやアナウンスを実施
しています。

また、デマや風評が飛び交う一方、それに流されないようにという冷静なメッ
セージも多く、デマの拡大を抑えた効果もありました。震災直後は、「この地域
のこの人の消息をだれか知りませんか?」という安否確認のためにtwitterを利
用するケースが多く、より多くの人の目に触れるために、フォロワーの多いホリ
エモンなどがひたすらretweetで協力していました。

グーグルは、他の地域の災害時にも活躍した消息情報サービス、パーソンファイ
ンダーをいち早く導入した後、必要に応じて機能をどんどん追加し、現在は避難
所で名簿を撮影してアップロードすると、自動的に消息情報が登録される仕組み
もできました。

また、ホンダ、パイオニア、グーグルのエンジニアが企業の壁を超えて協力し
て、GPSを搭載した車両が震災後に通過した道路のデータを地図にプロットする
ことで、どの道路が通行可能でどの道路が遮断されているのかがリアルタイムで
わかるサービスを地震後5日で公開しました。

facebookでも多くの支援の呼びかけが行われており、facebookの得意なリアルな
人間関係を通して、世界中に支援の輪が広げられています。

個人でも多くの人が、計画停電、放射能濃度、炊き出し地区、避難所マップなど
のネットに散らばった情報をわかり易くまとめるサイトやサービスをあっという
間に実現し公開しています。エンジニア以外の人でも、節電や買い占め防止を呼
びかけるポスターをデザインして公開したり、皆自分の得意分野で出せる能力を
惜しみなく出して団結しています。


まだまだ大変な状況がしばらくは続くと思いますが、私はこうした様子を見てい
て、「日本は大丈夫」と確信しました。


原発を失い、限られたエネルギーリソースの中での早期復興が強いられる日本。

こうした逆境こそ、ここ10年続いた閉塞感を打ち破り、日本がもう一度元気にな
るきっかけになるのではないでしょうか。

戦後、焼け野原から世界が驚愕する勢いで復興し、技術的にも経済的にも短期間
で大国となった日本。

今回の逆境では、とくにエネルギー技術が飛躍的に進み、世界のエネルギーテク
ノロジーをリードする国になる事でしょう。限られた電力の中で節電家電が必須
となり、原子力に代わるより安全で安価な代替クリーンエネルギーも求められます。

今なら、そのために消費税が上がったり、一時的に停電などの苦労を強いられて
も、国民が一丸となって支持し、協力する団結心がすでに生まれてきているよう
に見えます。

今回の地震、津波、原発事故で犠牲になった多くの尊い命は何にも替えることが
できません。またしかし、絶対に無駄にはなりません。

あれだけの災害にあった直後でも秩序と治安を維持している日本を見て世界が驚
いています。

驚くのはまだ早い。

驚異的な速さで復興するばかりではなく、以前より何十倍もパワーアップした日
本に生まれ変わる様を世界にみせつけてやろうではありませんか。

そして、そこで得たノウハウは次にどこかの国で災害が起きたときに必ず役立て
られるでしょう。

2011年3月3日木曜日

iPad2まとめ

いつもお世話になります。56ニュースの時間です。

3/2/2011ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

でましたね。iPad2
結局、午前中一杯中継をみたり、速攻レポートのサイトを巡回していました。
さて、新iPad2、買いでしょうか。

iPad2のまとめは既に沢山でているので、もう見たという人は飛ばしてください。
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■ 何がすごかったか(高坂的感想)

・ジョブスが元気そうだった

実際に今日の株価の動きを見ると、スペック云々以前に、ジョブスが壇上に上
がっただけで$4近く株価が上昇しましたね。みんな心配してたんですね。
でも、「バッテリーライフは維持しつつも、33%薄くなりました。」というiPad2
の説明とジョブスの体型がどうしても重なってしまいました。

・テレビに出力できる

iPad2は、無線と有線の二つでテレビに画面をそのまま出力することができます。

有線の場合はドックコネクタからHDMI接続、無線の場合はAppleTVに飛ばします。
こうした、iPadをテレビに大画面出力する用途って、多分最初のiPadを出す時点
ではアップルは想定していなかったのではないでしょうか。大きな画面で据え置
きでみたいなら既存のパソコンですでに十分だからです。

ところが、蓋を開けてみるとパソコンを持っていない人が、第一端末としてiPad
を使うケースが以外に多い。先生が教室で使いたい。iPadの画面を家族やゲスト
と共有したい、という需要が見えてきたのではないでしょうか。


・バッテリーライフ10時間維持

iPadはもともと、あの画面サイズながら10時間もバッテリーが持つという点で優
れていましたが、さすがに容積が33%も少なくなって、カメラが2台もついたら電
池は犠牲かとおもいきや、同じ10時間を維持だそうです。電池のサイズが維持で
きたのか、それとも小さくして効率を上げたのかは今後の分解レポートで明らか
になるでしょう。


■ 何が残念だったか

・画面

iPhone4に採用された網膜Retinaディスプレイは今回のiPad2には採用されません
でした。
画面サイズ、アスペクト比も同じです。

もちろん、9ヶ月た65000本というアプリ資産を無駄にしないためには、解像度を
変更するのは難しかったとは思います。でも、高解像度化または、16:9画面は欲
しいです。
秋に発表されるというiPad3に期待ですね。


・競合意識しすぎのプレゼン

これまでジョブスのプレゼンでは、競合を名指しで比較するケースは少なかった
と思います。それは、暗に「相手にもしていない」というメッセージでした。

しかし、今回はアンドロイド、SAMSUNG ほかの競合をかなり意識した比較があり
ました。
脅威に感じているという事でしょうか。私的には不要だったように思います。


■ 買いか

うーーむ。
端末としての魅力はかなり増しました。薄くて軽くなったので、いままでiPhone
の出番だったシーンを奪う力もあります。また、テレビ用の端末という新しい位
置づけも魅力的です。

もちろん購入したらしばらくは興奮して使いそうですが、長い目でみて、生活の
なかでどれくらいの位置を占めるかというと、まだ疑問です。これは、iPad2の
スペックやコンセプトの問題ではなくて、単純に私のネットやガジェットとの付
き合い方の問題なんですが。

来週金曜日にアップルストアに並んでいるtweetを見たら笑ってくださいね。

2011年3月1日火曜日

iPad2を誰が発表するのか



さて、明後日3月2日はアップルが新製品発表のプレスカンファレンスを予定して
います。
メディアに向けて1週間前に送られた招待状のデザインから、iPad2の発表である
ことは間違いありません。

というか、その発表されるべきiPad2のスペックについてもかなり細かいところ
まですでに情報がリークされているので、何か予想外のサプライズがあるかどう
かが注目点といったところでしょうか。

これまで、アップルの記者向け新製品発表はリアルタイムでストリーミング中継
されてきました。世界中のアップルファン、ガジェットファンがこの時間帯はパ
ソコンにかじりつき、ジョブスの一挙手一投足を見逃すまいと、聞き逃すまいと
ストリーミング中継を見ながら、チャットやtwitterなどで仲間と感想を交換し
あうのが楽しいイベントの一つとなっていました。

記者会見場と同じ時間帯に生活する我々はいいのですが(会社で仕事中の人は迷
惑?)、日本の人は夜中の三時という厳しい時間ですが、それでも毎回多くの日
本人もリアルタイムで見ているようでした。

今回、iPad2のスペックよりある意味で注目されているのは、誰がiPad2を発表す
るのかという点です。病気療養中のジョブスが特別に壇上にあがるのか、臨時の
最高責任者を勤めるティム・クックが登場するのか。あるいは、デザインを仕切
るジョナサン・アイブが壇上にあがるのか。

おそらく、無難な線としては:

・音声または動画でジョブスからのメッセージ
・フィル・シラーから、初代iPadがいかに売れているかの数値的報告
・ティム・クックから、iPad2の発表、ゲストパートナー企業の紹介
・ジョナサン・アイブからiPad2のデザイン面の説明

というような流れではないでしょうか。

無難だけどつまんないですよね。多分、かぶりついて最後まで見る人は激減する
でしょう。

そして、それはiPad2の初日売り上げ数に影響するのではないでしょうか。販売
開始後の売上数は製品の実力としても、初日売り上げのほとんどは、信者とも言
えるアーリーアダプターによるものです。

RBCキャピタルの調査では、「ジョブスがいなくなってもアップル製品を購入す
るか」というアンケートに84%の人がジョブスの存在はアップル製品の購入に影
響しないと答えたそうです。

でもこれ、いままで通りの魅力的な商品を魅力的に繰り出すことができるという
前提で、トップがジョブスでなくても、という事ですよね。

問題は、ジョブスがいなくなってもこれまでのように魅力的な製品を出し続ける
ことができるのかという点です。

すでに、アップル社内にはジョブスのDNAが浸透しており、トップが変わっても
ジョブスのDNAはアップルに生き続ける、という人もいます。

しかし、ちょうどこの時期にジョナサン・アイブがイギリスへ帰国したがってい
るという事が報道されるなど、すでにジョブスの吸引力が弱まりつつあることを
感じさせます。

ジョブスのDNAを強く受け継いでいる人たちは、ジョブスを失った後もアップル
に残るでしょうか。そのDNAには「自分が最も楽しい何かを見つけるまで妥協し
ない」という信念が埋めこまれていて、なにか新しい別の何かを始めるために
アップルを去ってしまうのではないでしょうか。

アップルが株主総会でジョブス後の人事計画についての情報公開を求められた際
に、競合からのヘッドハンティングのターゲットになる可能性があるとして、公
開を拒否したそうです。当然、競合はジョブスの吸引力を失った好機を逃さない
でしょうね。

でも、残念ながらいくら周りの人材を集めても中心となるジョブスがいなくて
は、同じように人を魅了する製品は作れないでしょう。考えて見れば、ジョナサ
ン・アイブだって、ジョブスがアップルにもどるずっと前からアップルにはいた
わけですから。